ツグム「なんでさ!お前だって好きで、女やってんじゃないってこと、ハッキリ言えよ!旦那様がお前を女の子として育てたがってるだけだって、オレは男だ!って言ってやりゃイイじゃん!」
ユウキ「ツグム。。。オレのことかばうの、もうヤメろ。学校じゃお前まで変態とか言われてんのに。」
ツグム「んなもん、ぜんぜん平気だね。」
ユウキの家、祖父は、この土地の実力者で大地主だ。たくさんの土地や不動産、会社を持ち、実際、街の住民の多くがユウキの祖父に頭が上がらない。それは学校や役所、自治体も同様で、祖父のやり方には一切歯向かえない。ユウキには両親がいない。祖父が引き取って面倒を見ている。祖父はユウキを溺愛しているが、それは女として振る舞っているからにすぎない。祖父の前では女らしくしていないといけないようだ。
街の噂では、金も名誉もある祖父の嗜好で、将来は自分の愛人とするためにそうしているとか言われていた。が、実際はそうではない。ユウキの母、祖父の1人娘は、祖父の会社で働いていた男とかけおちし、ユウキを産んだ。しかし、ユウキが産まれてすぐに、両親は事故で死んだ。ユウキを引き取った祖父は、娘にそっくりだったユウキを女として育て始めた。それは自分を裏切り、1人娘を死なせたユウキの父に対する憎悪でもあるのかも知れない。将来、父親に似る事を許さないのかも知れない。祖父は、会社で働くユウキの父に多大な期待をしていただけに怒りは大きかったのかも知れない。
ユウキとツグムは、雇っている側と雇われている側の両家に生まれ育ったが、幼い2人にそんなことはなんの関係もなく、仲良く育った。祖父も身の回りのことなどをよくやってくれるツグムの母を可愛がり、ツグムのことも、本当の孫同様可愛がって来た。ただ女の子として育ったユウキと違い、負けん気が強く、活発なツグムはヤンチャな男の子として育った。だが、そんな2人にも、微妙な関係になる年頃がやってくる。
2人は15歳になり、ユウキは相変わらず友達もなく、黙って学校で過ごすことが多い。髪は腰まで伸ばし、制服は。。。祖父の言いつけで女子のブレザーを着ていた。そういう容姿からか体育などには顔を出さず、身体測定なども出たことはない。しかし、成績は学年一で、全国レベルでもトップクラスだ。一方ツグムは勉強のほうはサッパリだが、運動が得意で、ユウキとは正反対の毎日を過ごしていた。幼い頃に2人をからかってきた子供達も、それぞれの両親から言い聞かされていることもあり、この頃ではスッカリ慣れ、ツグムの方にはコレと言ってナニも言わず、ツグムはそれなりに学生らしい日々を送る。しかしユウキにはやはり誰も話しかけることはなかった。
ツグム「ユウキ!帰ろうぜ!」
ユウキ「....。」
部活も引退したツグムは、授業が終わると、2コとなりにユウキのクラスへ、いつもユウキを迎えに来た。ユウキは無表情で無言で教室を出て行く。
同級生(女A)「ね、ツグムくんってさ、ユウキくん家に住んでんのは判るけど、なんでいつも、あんなブ!っとした子に構うワケ?」
同級生(女B)「そりゃ、しょうがないよね。ちゃんと面倒見ないと、あのジイさんにクビにされちゃうからだよね。」
ツグム「いや、旦那様は、んなこたしないよ。ユウキはさ、幼なじみだから。てか、帰る家が一緒なんだから迎えに来るだけだって。あ、んじゃオレ行くわ!」
同級生(女AB)「ツグムくん、カッコいいのに、絶対損してるよね。可愛そうに、あんなオカマの世話さえなかったら。」
表面上は黙っていても、みな口々に言いたい事を言っている。ユウキは、金持ちを嫉妬する周囲の人間に、いつも冷たい目で見られていた。
ツグム「ユウキ!待てよ!ちょ、待てって。」
ツグムはユウキに追いついた。
ツグム「はぁ、はぁ。。。お前さ、もっと愛想イイ感じにできないの?ちゃんとさ、自分から明るく行かないとさ、みんなひいちゃってんぞ。」
ユウキ「ひいてくれて結構。」
ツグム「だから、そうじゃなくてさ。もっとハジけるとかさ。」
こんな具合で、ツグムはユウキを説得するが、ユウキは聞く耳を持たない。
ツグム「はぁ。。。まったくお前は。。。あ。そうだ!付いて来いよ!こっち!」
そう言ってユウキの手を強引に引いて、電車に乗った。
ユウキ「なんだよ。こっち、家の方角じゃないだろ。」
ツグム「イんだよ。今日はテスト明けで、昼で終わったんだし、たまには遠出しようぜ。」
しかし、2人は、事情を知らない者が見れば、なんの変哲も無い、男子と女子だ。初々しい少年と少女のカップルが電車に乗っているだけにしか見えない。そして2人は海の見える駅で降りた。
ユウキ「なんだよ!ココ。海来てどうすんだよ!」
ツグム「イイから。イイからこっち来いって。」
ユウキの手を引き、目的の方向へ歩き出す。”この前、前田達と釣りに来てさ、イイ場所見つけたんだ”そう言って時々振り向きながら一歩前を歩くツグム。他の同級生は誰も自分に見せない笑顔で。部活で鍛えたカラダは、自分とは違う男らしい体型になっているのが制服姿でも判った。ユウキは、ナニか不思議な気持ちを感じていた。自分でもよく判らないが、幼なじみだと思っていたツグムがちょっと違う存在になった。
駅から10分ほど歩いて、小さな港に着いた。
ユウキ「ココか?」
ツグム「いや、もうちょい。コッチ。」
人が1人やっと通れる細い通路のような所を歩き、やがてそれは小高い林に通じて、ちょっとした山道のような所を登り始めた。
ユウキ「なぁ!なんだよココ、オレ、スカートだからキツイんだけど。」
ツグム「んだよ、お前、男だろ。」
ムカ!っとしたユウキは”あー!そうだよ!”と言ってスカートをフトモモまで手で上げて素足状態で登り始めた。その足は、細長くて、本当に女の子のようだ。ツグムもまた、ユウキに対して今までと違う存在に見えた瞬間だった。”ユウキ。。。”。。。。。
やがて、下りになり始めた頃、
ツグム「ほ、ほら。あそこ。」
そう言って指差した方向を見ると、小さな砂浜が見えた。傾斜を下って行くと、そこは幅10メートルほどの小さな砂浜だ。
ユウキ「うわぁ!なんだよココ!こんな場所あったんだ!」
ツグム「な、イイだろココ。」
まるで小さなプライベートビーチのようなその場所は、砂浜が少し続き、その先はスグに岩肌の見える海だったが、水が透明で魚達が泳いでいるのが見える。ユウキは初めて見る光景に驚いている。クツを脱ぎ、靴下を脱いで素足でその海水に足を入れた。
ユウキ「つめてー!」
言葉は男の言葉だが、その姿は少女そのもの。さっきのようにスカートをフトモモまで上げたユウキを見てツグムは複雑な思いで見つめる。
ツグム「ユウキ。。。お前さ、大人になっても女で通すのか?」
ツグムは足下にある小石を海に投げながら話し始める。
ユウキ「。。。」
ツグム「お前、頭いいからさ、判ってると思うけど。。。オレたちもだんだん、その。。。大人になって来てんじゃん。。。これ以上は、たぶん今までみたいに行かないと思うんだ。。。」

ツグム「オレが、オレが旦那様に頼んでやろうか?お前がもう女の」
ユウキ「余計な事しなくてイイよ。」
ユウキも小石を投げた。
ユウキ「オレ、高校には行かないつもりだ。」
ツグム「!!!」
ユウキ「あの家を出て、1人で暮らす。爺さんの手元を離れさえすれば、男として生きて行ける。」
ツグム「ユウキ、けどお前、もったいないよ、頭イんだから。オレなんか行きたくても行けないかもしれないんだぜ。高校。それをお前。。。だいたい旦那様が許すはずないよ。。。」
ユウキ「それこそ。それこそ、オレたちも、もう大人だ。義務教終わればオレの自由だよ。」
ツグム「お、オレは、正直、お前が今のままでもぜんぜん平気だ。。。男だろうと、女だろうと。けど。」
ユウキ「オレは。。。男だよ。」
ユウキがつかもうとした小石は、ツグムもつかもうとした石だった。2人の手が触れた。さっきまで手を引いて歩いていた2人だが、お互い、その瞬間にハっとした。見つめ合った。2人の顔の距離、クチビルの距離が近づいた時、
男の声A「いやー!イイ絵だねー、お2人さん。」
男の声B「なーんかねー!悶々させるなーガキんちょが。」
女の声「子どもがこんなとこでナニしようと思ってんだか。」
男の声D「そこから先はどんなこと見せてくれんだろうねー。」
男が数人と女が1人立っている。
つづく。
【解説 -少女少年について-】
これは、もう、ある有名な少年がモデル。ただし、ヘソから下は僕自身がモデル。ちなみにユウキとツグム、2人の爽やかな関係は、この後、大きく乱されます。。。